顧客獲得の手段として「コンテンツマーケティング」が注目されています。企業がWebで有益なコンテンツ記事を掲載し、ユーザーの関心を集める手法です。ただし、コンテンツマーケティングでは記事の質が高くないと十分な効果を得ることができません。Web担当者は押さえるべきポイントを踏まえて、記事作成者に指示を出せるようにしておきましょう。この記事では、Webコンテンツ制作にあたって外せないポイントや、実際の記事作成の手順を解説していきます。

Webコンテンツが注目されているワケ

コンテンツの語源は、「中身・内容」を意味する英単語「content」の複数形です。元々は、Webサイトやサービスの中に含まれている、さまざまな情報を指してWebコンテンツとよんでいました。ただし、Webマーケティングの世界では、より広義の意味を持つようになっています。一概に、コンテンツの定義を断定することは難しいといえるでしょう。

たとえば、「モバイルコンテンツ」であれば、スマホや携帯タブレットに関するさまざまな機能・サービスの総称です。デフォルトで備わっているメールや通話などから、購入後にインストールするアプリケーションまでもコンテンツの一部です。そのほか、スマホ向けに作られたSNSもコンテンツと呼ぶことがあります。

企業のWebサイトにおいても、コンテンツの意味はさまざまです。サイト内の記事、商品紹介などはコンテンツに違いありません。一方で、サイトを閲覧するために操作するシステムそのものをコンテンツと称する場合もあります。人々の消費活動が店舗からECサイトなどのWebに移行しつつある時代では、ますますコンテンツの種類は広がっています。音楽や電子書籍、ソフトウェアなども、現代社会において、コンテンツの一部です。

多様な意味を持つコンテンツという言葉を、なんとか説明しようとすれば「Web上で売り手と買い手をつなぐ情報」だといえるでしょう。そしてこの役割があることが、Webコンテンツが注目されている理由と考えられます。 企業がメディアに掲載した記事を読むことで、ユーザーは商品・サービスの価値を認知します。また、アプリケーションやソフトウェアを利用することで、ユーザーは企業の提供しているサービスを使えるようになります。これらのコンテンツの質は、企業に対するユーザーの信頼度を左右するといえます。企業がWebを通してユーザーから信頼され、顧客を増やしていこうとするならばコンテンツの充実は欠かせません。もしもコンテンツに力を入れていないことがユーザーに伝わってしまうと、「顧客目線に立っていない企業」とのレッテルを貼られてしまいかねません。Web担当者は自社のコンテンツを見直し、不足している点を補えるように注力していきましょう。

Webコンテンツ制作を進める前に押さえておくべきポイント5

質の高いWebコンテンツを作るには、重要なポイントが5つあります。まずは「ゴール設定」を明確にしましょう。コンテンツ作成とは、あくまで手段であり目的ではありません。「企業の知名度を上げる」「新商品を売る」といった目的に基づき、コンテンツを企画するべきです。

次に「ペルソナ設定」です。ペルソナとは、コンテンツのターゲット層を掘り下げて、人格や生活様式まで付け加えた仮想の人物像です。ペルソナを踏まえてコンテンツを作成すると、ピンポイントでターゲット層の興味を引く内容に仕上げることができます。また、作成者によってコンテンツの中身がブレないためにもペルソナ設定は重要です。ペルソナを作成者間で共有できれば、誰がコンテンツを担当しても同じターゲット層に向けて情報を発信できます。文体やテーマのバラつきも抑えられるでしょう。

「キーワード選定」も、コンテンツ作成には不可欠です。ペルソナが見えてくると、自ずとキーワードも調べやすくなります。ペルソナがWebで頻繁に検索しているキーワードを絞り込み、コンテンツに盛り込むようにしましょう。上手くいけば、コンテンツが検索上位に現れるようになり、アクセス回数は伸びていくでしょう。こうした工夫を「SEO対策」といいます。ペルソナの関心、悩みを知るためにもキーワード選定を行ってからコンテンツを構成するようにしましょう。

そして、「徹底したリサーチ」もコンテンツ作成のポイントです。もしも「20代女性におすすめのダイエット」を紹介するコンテンツを作りたいなら、リサーチによって、よりテーマを掘り下げましょう。ターゲット層はどんなダイエットをしたいのか、ダイエットに成功してどうなりたいのかなどを調べれば、競合サイトと競える良質なコンテンツの作成が可能となります。

最後に押さえておきたいのが「わかりやすくベネフィットを伝えること」です。ベネフィットとは、「利益」を意味する言葉です。あるコンテンツが、どんなベネフィットをもたらすのかを理解してもらえるようにしなければ、ユーザーの関心を引くのは難しいでしょう。ただし、難解な文章でベネフィットを説明しても逆効果になりかねないので注意が必要です。

コンテンツ制作担当者に必要な心構え

Webコンテンツライティングを行う際に覚えておくべき心構えがあります。それは「自分が書きたいものを書く」のではなく、「ユーザー目線を意識して書く」こと。コンテンツがターゲット層のニーズに一致していないと、ネットユーザーはすぐに離脱してしまう可能性があります。サイトのデザインや文体、強調しているテーマを一目見ただけで、ユーザーは「自分に役立つ情報があるかどうか」を判断するでしょう。狙い通りにコンテンツを注目してもらうには、ユーザーの思考を読むことが大切です。

そしてもう一つ、Web担当者が犯しがちな過ちとして、「過剰な売り込み」が挙げられます。自社の商品・サービスを売り込みたい。これは当然の心理ではあるものの、こうした意図が見え透いているとユーザーの拒絶反応を引き起こしかねません。逆に、ほとんど自社の宣伝になっていないようなコンテンツでも、ユーザーが心から興味を持ってくれると、企業への関心度は高まるでしょう。そして、いざ、商品・サービスを訴求したときに「この企業が販売しているなら間違いないだろう」と考えてもらえることが期待できます。

また、コンテンツ制作担当者には、「コンテンツを研ぎ澄ませていく」意識も必要とされます。メディアを開設した後は、漠然とコンテンツの更新だけをするのではなく、コンテンツのアクセス解析を行い、ターゲットにしっかり届いているかを確認することが重要です。SNSなどで反響を追うのもひとつの方法でしょう。そして、コンテンツが思うような成果を上げられなかった場合には、原因を追究し、改善点を次の企画に反映させます。こうしたトライ&エラーを根気よく続けることで、Webサービスのコンテンツは質が高まっていきます。

そして、コンテンツ作成にあたっては周囲とのコミュニケーションを大事にしましょう。数字やデータを追いかけることはもちろん重要です。しかし、ユーザー心理を知るためには、現場の感覚も疎かにできません。Web担当者から現場スタッフに話しかけ、生の声を聴き、参考にしましょう。ライターや校正者、編集者などのモチベーションも、コンテンツのクオリティに直結します。担当者の求心力次第で、コンテンツは良くなることも、悪くなることもありえます。頑なに自分の意見を押し通すのではなく、柔軟にスタッフの考えを取り入れることで、深みのあるコンテンツを増やせるでしょう。

コンテンツ制作に重要!記事作成の手順【構成編】

Webコンテンツ作成にあたっては、「構成」が非常に重要です。コンテンツが完成するまでには「企画」「構成」「執筆」「校正」「リライト」などの手順を踏みます。中でも、記事の根幹を決定する作業が構成です。構成段階で記事に必要な要素が設定されます。構成が丁寧に行われた記事は、ユーザーが調べたい情報を含んでいるため、反響も良くなることが期待できます。逆に、構成があやふやな記事は、ターゲットやテーマが定まらない内容になりかねません。また、ユーザーがコンテンツの最初から最後まで興味を持続するためにも、ストーリー性のある構成は必要といえます。

コンテンツ記事の詳細な内容はメディアによって大きく変わりますが、共通する基本的な構成要素はあります。コンテンツ記事を構成するのは「導入」「本文」「まとめ」の3つです。まずはキャッチーな導入部分によって、ユーザーの関心を引きつけます。そして、本文でユーザーの求める情報を詳しく述べた後で、まとめによってテーマを総括します。本文は冗長な印象にならないよう、文字数に応じて見出しや段落を設けるといいでしょう。

構成を始めるにあたって、肝心なのは「テーマ・ターゲット設定」です。どんなテーマをどんな層に読ませたいのかをはっきりさせましょう。テーマ・ターゲットは導入で明言しておくと、ユーザーが本文を読みやすくなります。導入が決まったら、コンテンツの中身を考えていきます。記事の展開を踏まえて、キーワードとなる単語の配置を定めましょう。キーワードはコンテンツ記事が検索上位に登場するために欠かせません。なるべく記事の前半部分に使用することがコツです。そのうえで、リサーチに基づいた「ユーザーが抱きがちな疑問・問題」を冒頭に提示し、徐々に原因、解決法という流れに導くことが理想的です。記事の最後にあたる「まとめ」は、ユーザーの満足感を左右するパートといえます。本文が長いとユーザーはすべての内容を覚えきれないため、肝心な部分をまとめで繰り返します。

ただし、構成をライターに伝えるとき、解釈に不一致が生まれる可能性があります。対策として、例文や参考記事を資料に添付してあげましょう。具体的なイメージがつかめればライターの作業ははかどりますし、構成者としても、意図した内容に近い記事を納品してもらいやすくなります。

コンテンツ制作に重要!記事作成の手順【タイトル・見出し編】

構成が組み立てられ、いざ記事を作成する際、見落としがちなのが「タイトル」です。ユーザーはタイトルを見て記事全体を読むかどうかを決めます。そのため、タイトルを適当につけてしまうと、ユーザーに記事を読んでもらえない可能性があります。

タイトルをつける際の基本は「記事を要約していること」です。そのうえで、「記事を読むベネフィット」まで説明されていれば理想的です。記事を読むことでユーザーはどんな利益を得られるのか、タイトルで表現する手法です。たとえば、家電についての記事なら「掃除がもっとラクになる!」や「光熱費削減に役立つ!」などのフレーズを入れて、ユーザーの興味を引きます。

そして、ユーザーが記事を読むことを後回しにさせないよう、「切羽詰まっている感覚」を漂わせます。Webコンテンツは、一度ユーザーが離れてしまうと戻ってきてくれない可能性があります。コンテンツライティングでは、訪問したユーザーに「この記事を読まなくてはいけない」と思わせることが肝心です。このとき、「読まなくては損する!」「毎月の食費に悩んでいるなら」といった風に、ユーザーの問題意識を喚起するようなフレーズが役立ちます。

次に、タイトルの語尾にもこだわってみましょう。ユーザーが読み飛ばしてしまう記事は、往々にしてテーマが曖昧です。「上手にコスメを使ってきれいになろう!」のようなタイトルは、一見ユーザーに訴求しているようで単なる呼びかけに終わっています。記事の内容を推測できるようなタイトルではありません。しかし、語尾を「きれいになる方法5つ」「きれいになれるアイテム5選」などにして、具体性を持たせればタイトルだけで内容が伝わります。そのほか、「きれいになる方法を知ってる?」のように疑問形にするのも記事を読んでもらうためのコツです。

タイトルのつけ方に絶対的な正解はありません。ただし避けたいのは、内容に見合わないタイトルをつけてしまうことです。大げさなキャッチコピーを使うと、ユーザーは一時的に集まるかもしれませんが、期待したベネフィットを得られず、満足感をもってもらえないことも考えられます。タイトルは内容を踏まえたうえで、的確な言葉を用いるようにしましょう。

タイトルを作成した後は本文執筆に移りたいところですが、その前に見出しも作成しておいた方がよいでしょう。見出しは本文を読みやすくするという重要な役割があります。またユーザーによっては、本文を斜め読みして見出しで全体を把握しようとすることも想定されます。そのため、タイトルと同様おろそかにせず、考えて作成すべきです。

本文執筆をしながら、また執筆後に見出しを作る方法もないとはいえませんが、見出しがない状態で文章を書こうとすると、一部の情報に偏りが出たり、読みづらい文章になったりする可能性があります。そのため、ひとまず本文を書く前に時間をとって作成したほうがよいといえるのです。 見出しを作成するときはキーワードを意識するのがポイントで、タイトルに入れたメインキーワードと一緒に検索される「サジェストキーワード」を入れるのが、方法のひとつです。また見出しの数は、本文の文字数に対応したものにします。1,000文字の記事なら3、4つの見出しでちょうどよいかもしれませんが、10,000文字の記事で3、4つの見出しでは、ひとつの見出しにおける文章が長くなってしまうので、もっと増やした方がよいでしょう。

記事作成の手順【本文編】

構成が終わり、タイトル・見出しも決まったならいよいよ本文執筆に入っていきます。ちなみに、タイトル・見出しは本文を書き終わってから、より相応しいものに調整してもかまいません。見出しのために本文があるのではなく、本文のために見出しがあるべきだからです。

本文ではまず、冒頭が肝心です。冒頭でユーザーを引きつけられなければ、魅力的な記事とは呼べません。よくある方法は、「あなたの睡眠時間、足りていますか?」などと、ユーザーに話しかける方法です。ターゲット層が抱えている問題や悩みを冒頭で提示し、「この記事を読めば解決できますよ」とつなげていくのです。あるいは、「睡眠時間が足りていないとつらいですよね」と、ユーザーに共感を示すのもひとつのテクニックでしょう。

冒頭で問題を提示したら、残りの文章は解決策などを伝えることに費やしていきます。このとき、できるだけ論理的に、根拠を示しながら執筆するように努めます。根拠にとぼしい文章は、読者から不信感を抱かれる可能性があるからです。

ただ、論理的な文章を意識しすぎるあまり、内容がまわりくどくなる可能性もあります。これを避けるためには、文章の最初に結論を配置し、後から理由を述べていく書き方が効果的です。だらだらと理屈が述べられていてもユーザーは「自分は何を読まされているんだろう」と感じ、離脱してしまうことが考えられます。しかし、最初に「睡眠時間が長くなると肌は美しくなります」とあれば、ユーザーはその理由を知りたくなり、その後の文章も追ってくれるでしょう。

そして、安易に専門用語を使わないことも大切です。専門用語を使うなら、わかりやすい説明をはさみましょう。ユーザーには、必ずしも、専門的な知識が備わっているとは限りません。むしろ、知識が不足しているからこそWebコンテンツに解決策を求めているともいえます。ペルソナを意識しつつ、テーマについて詳しくは知らない人に記事を書いている意識を持ちましょう。そうすることで、多くの人にとって理解しやすい記事を作成することができます。

コンテンツマーケティングにおいて、記事のクオリティは重要な要素です。単に記事を量産すればいいというわけではなく、中身が大切なのです。ペルソナ設定や記事構成などに気をつけ、ユーザーが求めている情報を盛り込んだ役に立つコンテンツを提供して、ファンを増やすことで企業の売上アップにつなげていきましょう。